福岡正信
人物[編集]
若い頃は横浜税関の植物検査科に所属し研究に没頭していたが、急性肺炎にかかり死に直面すると、「この世には何もない」と悟り、仕事をやめ地元に戻り農業を始めた。「やらなくてもいい」ことを探しながら、つまり科学農法を否定するために多くの失敗を重ね、自然農法を確立していった[2]。
「粘土団子」と呼ばれる、様々な種を100種類以上混ぜた団子によって砂漠緑化を行おうとした。行われた場所は、ギリシャ・スペイン・タイ[8]。ケニア・インド[9]、ソマリア[10]、中国・アフリカなどの十数カ国[11]とされる。東南アジア諸国では、粘土団子方式で荒野がバナナ畑や森として甦った[12]。
略歴[編集]
- 1913年 - 愛媛県に生まれる。
- 1931年 - 松山中学卒業。
- 1933年 - 岐阜高農農学科卒業。
- 1934年 - 横浜税関植物検査課に勤務。
- 1937年 - 一時帰農。自然農法を始める。
- 1939年 - 高知県農業試験場(現・高知県農業技術センター)に勤務。
- 1947年 - 再び帰農。自然農法一筋に研究を開始。
- 1975年 - 「自然農法・わら一本の革命」を出版。
- 1988年 - マグサイサイ賞「市民による公共奉仕」部門賞、インド・デーシコッタム賞など受賞。
- 1997年 - 第1回アース・カウンシル賞受賞(日本人同時受賞者に竹下登、平岩外四、原田正純)。
- 2008年 - 8月16日午前死去。
著書[編集]
本[編集]
- 『無』、伊予: (自費出初版)、1947年2月2日。[14][15]
- 『百姓夜話・「付」自然農法』、伊予: (自費出初版)、1958年10月。
- 『無2 緑の哲学』、伊予: (自費出初版)、1969年5月。
- 『無3 自然農法(と理論と実際 緑の哲学 実践編)』、伊予: (自費出初版)、1972年4月25日。
- 『無1 神の革命』、伊予: (自費出初版)、1973年7月。
- 『無 別冊 緑の哲学 農業革命論』、伊予: (自費出初版)、1974年8月。
- 社会観 『わら一本の革命』 (分類について[16])
- 『自然農法・わら一本の革命』 (新版) 春秋社、2004年8月 [1975年]。ISBN 978-4-393-74141-2。(スタート、序章[16])
(初版) 柏樹社、1975年9月。(新版) 春秋社、1983年5月 ISBN 978-4-393-74103-0。 - 『自然に還る』 (新版) 春秋社、2004年9月 [1984年]。ISBN 978-4-393-74146-7。(コース、過程編)
(初版) 春秋社、1984年8月 ISBN 978-4-393-74104-7。(新版) 春秋社、1993年4月 ISBN 978-4-393-74114-6。 - 『神と自然と人の革命』 (自費出新版)、伊予: 自然樹園、1992年12月 [1987年]。ISBN 4938743019。(ゴール、総括編)
(自費出初版) 『神と自然と人』1987年 NCID BA83902799。(自費出新版) 1991年11月 NCID BN08239853。(自費出新版) 1995年。
- 『自然農法・わら一本の革命』 (新版) 春秋社、2004年8月 [1975年]。ISBN 978-4-393-74141-2。(スタート、序章[16])
- 人生観 『無』
- 『無Ⅰ 神の革命』 (新版) 春秋社、2004年8月 [1973年]。ISBN 978-4-393-74143-6。(宗教編[16][17])
(自費出初版) 1973年7月。(新版) 春秋社、1985年7月 ISBN 978-4-393-74111-5。 - 『無Ⅱ 無の哲学』 (新版) 春秋社、2004年9月 [1969年]。ISBN 978-4-393-74144-3。(哲学編)
(自費出初版) 1969年5月。(新版) 春秋社、1985年7月 ISBN 978-4-393-74112-2。 - 『無Ⅲ 自然農法』 (新版) 春秋社、2004年9月 [1972年]。ISBN 978-4-393-74145-0。(実践編)
(自費出初版) 1972年4月25日。(新版) 春秋社、1985年10月 ISBN 978-4-393-74113-9。
- 『無Ⅰ 神の革命』 (新版) 春秋社、2004年8月 [1973年]。ISBN 978-4-393-74143-6。(宗教編[16][17])
- 『自然農法 緑の哲学の理論と実践』 (初版) 時事通信社、1975年12月。ISBN 978-4-7887-7626-5。
- 『粘土団子の旅 わら一本の革命 総括編』 (自費出初版)、伊予: 自然樹園、2001年5月。ISBN 978-4-938743-02-4。
(重版) 春秋社、2010年4月 ISBN 978-4-393-74151-1。 - と 金光寿郎 『「自然」を生きる』 (新装版) 春秋社、2004年8月 [1997年]。ISBN 978-4-393-74147-4。
(初版) 春秋社、1997年2月 ISBN 978-4-393-74115-3。 - 『自然農法 福岡正信の世界 (DVDブック)』 (初版) 春秋社、2005年1月。ISBN 978-4-393-97019-5。
- と 、井谷カヨコ、野村美詠子 (翻訳)、矢島三枝子 (翻訳)、益田明美、阿部悦子、将積睦 (解説冊子)、Michael T. Seigel (翻訳):編、 (二言語 英語訳) 『いろは革命歌 Iroha Revolutionary Verses』 (自費出初版)、伊予: 自然樹園 (小心舎)、2009年2月2日。ISBN 978-4-938743-03-1。
論文[編集]
- 「柑橘樹脂病特にその完全時代に就て」 (PDF)、『日本植物病理學會報』 (日本植物病理学会) 第7巻第1号32–33頁、1937年8月。ISSN 00319473。2012年7月20日閲覧。
- 『農作物 病虫害防除提要 第一編 米麦丿病虫害』 (画像ビューア (絶版古書))1巻、長岡村 (高知県): 高知県立農事試験場楠会、1941年。2012年7月20日閲覧。
- 『農作物 病虫害防除提要 第二編 蔬菜丿病虫害』 (絶版古書)2巻、長岡村 (高知県): 高知県立農事試験場楠会、1942年。
- 「米麦直播栽培の実際-1-」、『農業及園芸』 (東京: 養賢堂) 第37巻第5月号、1962年5月。ISSN 03695247。2012年7月20日閲覧。
- 「米麦直播栽培の実際-2-」、『農業及園芸』 (東京: 養賢堂) 第37巻第6月号、1962年6月。ISSN 03695247。2012年7月20日閲覧。
- 「私の稲直播栽培法」、『愛媛農業』、1963年6月。NCID AN00278616。
- 「私の農法(講演〔「近代農法の反省と今後の農業」セミナーより〕)」、『協同組合経営研究月報』 (町田: 協同組合経営研究所) 第214巻19–36頁、1971年7月。ISSN 09141758。2012年12月23日閲覧。
- と 草柳大蔵 「自然農法より工業社会へ愛をこめて(情報の交差点 この人に聞く-8-)」、『中央公論』 (東京: 中央公論新社) 第90巻第11号400–407頁、1975年11月。ISSN 05296838。2012年12月23日閲覧。
- 「農村に埋もれている哲学の発掘を (新しい農民哲学を求めて<特集>)」、『農業と経済』 第47巻第1号48–55頁、1981年1月。ISSN 00290912。2012年7月20日閲覧。
- 「自然農法アフリカ・アメリカへ飛ぶ--砂漠に種を蒔く (有機農業の可能性を探る<特集>)」、『農業と経済』 第53巻第2号70–76頁、1987年2月。ISSN 00290912。2012年7月20日閲覧。
- 「生と死 ―私の死生観―」 『智慧とは何か』7巻京都市: 法蔵館〈季刊仏教〉1989年5月仏教の知 現代の知 159- 頁。ISBN 4831802077。
- 「砂漠に種を蒔く」 『いのちの環境』6巻京都市: 法蔵館〈季刊仏教・別冊6〉1991年11月生きられる環境とは 52- 頁。ISBN 4831802565。
- 「自然教に生きる」 『「日本仏教」批判』25巻京都市: 法蔵館〈季刊仏教〉1993年10月<「日本仏教」をどうするか> 130- 頁。ISBN 4831802255。
- 「自然農法のよる社会革命 —自然の心に到る道—」 『森の哲学』28巻京都市: 法蔵館〈季刊仏教〉1994年7月176- 頁。ISBN 483180228X。
- 「自然農法の提唱と砂漠緑化 自然農法の哲学と21世紀の農法」、『週刊農林』 第1802巻4–6頁、2001年10月25日。2012年7月20日閲覧。
- 「自然農法の提唱と砂漠緑化 自然農法の哲学と21世紀の農法(2)21世紀の農業--農業技術の混乱」、『週刊農林』 第1803巻4–6頁、2001年11月5日。2012年7月20日閲覧。
- 「自然農法の提唱と砂漠緑化《3》自然農法の哲学と21世紀の農法」、『週刊農林』 第1804巻6–7頁、2001年11月15日。2012年7月20日閲覧。
- 「自然農法の提唱と砂漠緑化 自然農法の哲学と21世紀の農法(4)科学の錯誤 (自然農法の提唱と砂漠緑化(4))」、『週刊農林』 第1807巻4–6頁、2001年12月25日。2012年7月20日閲覧。
- 「特別インタビュー 自然と人間 福岡正信(自然農法家)--人智を捨て、自然に仕えて生きる (十二月臨時増刊号—長寿と健康 いのち大切に--全篇書き下ろし113人の「元気に生きるヒント」)」、『文藝春秋』 (東京: 文藝春秋) 第79巻第15号98–104頁、2001年12月。2012年7月20日閲覧。
- 「鋤、肥料、農薬、除草……一切いらんしかも土は肥えるし、収穫量は2倍これが「自然農法」です」サライ編集部編 『サライ・インタビュー集-紅の巻-上手な老い方』東京: 小学館1998年4月201–214頁。ISBN 978-4-09-343605-2。
本の英語訳[編集]
- と Chris Pearce、Larry Korn (ed.)、黒沢常道 :訳 (英語) 『The One-Straw Revolution: An Introduction to Natural Farming』、USA: Rodale Press、1978年 [1975-9]。ISBN 0878572201。
- と Frederic P. Metreaud :訳 (英語) 『The Natural Way of Farming: The Theory and Practice of Green Philosophy』 (新版)、Tokyo、New York: Japan publications、1987年[1975年12月]。ISBN 978-0-87040-613-3。 1985年(初版) ISBN 0870406132。
- と Frederic P. Metreaud :訳 (英語) 『The Road Back to Nature: Regaining the Paradise Lost』、Tokyo、New York: Japan publications、1987年 [1984-8]。ISBN 0870406736。
- と Alfred Birnbaum :訳 (英語) 『Mu 1 – The God Revolution』、Japan、1994年/「1964」[いつ?]。[18]
- と ? :訳 (英語) 『The Ultimatum of God Nature「The One-Straw Revolution」A Recapitulation』、伊予: S h o u S h i n S h a (小心舎) (自費出初版)、1996年。
脚注[編集]
- ^ 「僕はドン・キホーテ(メッセージ 種まく5月)【大阪】」朝日新聞夕刊1999年5月7日
- ^ 著書「わら一本の革命」より
- ^ 『無3-自然農法』に収録した論文によると、稲・麦作に10アール当たり300キログラムの鶏糞、同800-1200キログラムの敷藁、麦作の元肥として同80キログラムの石灰窒素、ほかに木鋸屑、チップ樹皮屑など。この論文については「技術者と一般農家のために書かれたものであり、本来の自然農法からは一歩後退した面を含んでいる」としている。
- ^ 『無3-自然農法』に収録した論文によると、麦作に10アール当たり3-6キログラムのシアン酸ソーダ。また本文中にも、柑橘果樹のヤノネ貝殻虫対策としてマシン油乳剤、石灰硫黄合剤、やむをえない場合と断った上で、野菜に銅・亜鉛剤、植物剤(除虫菊、デリス、煙草)、石灰硫黄合剤、動植物油乳剤、マシン油乳剤、燐剤(ネコイラズ)などを用いるとある。
- ^ http://www.satavic.org/rishikheti.htm Natural farming succeeds in Indian village
- ^ http://dwiddly.wordpress.com/2008/11/05/meeting-the-indian-fukuoka/ Meeting the Indian Fukuoka
- ^ http://www.solutions-site.org/cat11_sol85.htm Alternative agriculture in Thailand and Japan
- ^ 「砂漠の団子(窓・論説委員室から)」朝日新聞夕刊1999年7月19日 1面
- ^ 「粘土団子で虹よ架かれ ケニアの砂漠緑化ストップ 横浜アートプロジェクト」朝日新聞朝刊2006年8月29日 田園・浜・川・2地方 30面
- ^ 「「種で緑化」支援を 有志ら提供呼びかけ/群馬」朝日新聞朝刊2002年3月22日 群馬 34面
- ^ 「生ごみの種が世界を緑化」朝日新聞朝刊2002年10月28日 15面
- ^ 朝日新聞2005年「ひと」コラムより
- ^ 朝日新聞2005年「ひと」コラムより
- ^ 著者自身が『無I神の革命』の増補改訂版で(2004年版 iv–vページ参照)
- ^ 将積睦; 福岡正信、「『いろは革命歌』発刊によせて」、井谷カヨコ、野村美詠子 (翻訳)、矢島三枝子 (翻訳)、益田明美、阿部悦子、将積睦 (解説冊子)、Michael T. Seigel (翻訳):編 (二言語 英語訳) 『いろは革命歌 Iroha Revolutionary Verses』 (自費出初版)、伊予: 自然樹園 (小心舎)、2009年2月2日、3・6頁。ISBN 978-4-938743-03-1。
- ^ a b c 著者自身が『自然に還る』の増補改訂版で(2004年版430ページ参照)、社会観123、人生観123という分類を行っている。
- ^ 『神と自然と人の革命』で著者自身が『無』3巻をそれぞれ、宗教編、哲学編、実践編と分類している。
- ^ 画像:福岡正信 (英語訳)『Mu 1-The God Revolution』、 アルフレッド・バーンバウム :訳、日本:?出版元?、1994年/「1964」[いつ?]。 −Amazon.com
関連文献[編集]
- 木下泰雄 「米と柑橘--愛媛県伊予市・福岡正信さんの「自然農法」」、『協同組合経営研究月報』、無農薬農業の事例をたずねて(ルポ) (町田: 協同組合経営研究所) 第207巻85–90頁、1970年12月。ISSN 09141758。2012年12月23日閲覧。
- 坂本慶一 「日本農業の再生は可能か」、『中央公論』 (東京: 中央公論新社) 第90巻第5号58–70頁、1975年5月。ISSN 05296838。2012年12月23日閲覧。
- 牧野(माकिनो)財士(साइजी) 『福岡正信先生とインド インドの緑化につながった“無”の哲学』 地湧社、2010年。ISBN 978-4-88503-211-0。
- 木村武史 「自然農法の思想 : 福岡正信の場合」、『筑波大学地域研究』第33号53-70頁、2012年3月31日。2012年7月22日閲覧。
関連項目[編集]
轉貼自: http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%A6%8F%E5%B2%A1%E6%AD%A3%E4%BF%A1
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